太平洋序曲*宮本亜門

kumocco2005-02-11

ニューヨークで宮本亜門さん演出の「太平洋序曲」(pacific overtures)が閉幕した。日本人初めてのブロードウェイの舞台演出で、初日の12月2日は「スタジオ54」の約1000席は満員だったそう。私もニューヨークくんだりまで足を運び、観てきた。初日は満員だったそうだが、2階席の半分以上は空いていた。アメリカでの評価は賛否両論だったよう。

話は、ペリー提督率いる黒船の来航によって、鎖国の夢を覚まされた日本という国が、そして日本人が、初めて出会った西洋にどのように向き合ったのかを描いたもの。こんなテーマを一体どのようにアメリカで演出するのか?私なら、同情してほしくはないけど、アメリカ人の気分を逆なでもしたくない。宮本亜門さんはどのようにこれを料理したかというと、まさに、同情とも反米ともならない演出。かなりアメリカを風刺はしているが、大きな主張は感じない。ただそれだけに、舞台に全くドラマを感じないし、誰かに焦点をあわせた話でもない。学校で歴史を習っているかのような気分だった。照明の使い方などの演出はよかったが、あまりに「語り」に頼っている気がした。出来事を言葉で表現するのならラジオでどうぞ。

ちょっと辛口なのは、決して宮本亜門さんの演出のためではないかもしれない。というのも、氷点下のマンハッタンで、劇場の中はサウナのような暑さだった。日本でも真冬に半袖を着て歩いているアメリカ人をたまに見るが、アメリカ人の温度感覚はどうしても理解できない。暑さの中では冷静に舞台を鑑賞でなかったかも。