幸福*メドヴェトキン
1934年のアレクサンドル・メドヴェトキン監督作品、ロシア(ソビエト)映画「幸福」を見ました。スターリンの独裁主義下の作品とは思えない、プロパガンダ映画というよりもコメディー映画のような作品。ロシアは、チャイコフスキー、トルストイ、ボルシチだけでなく、愉快なコサックダンスの国でもあるのだ!
私はいつも初詣で、「幸せになれますように」とお願いするのですが、果たして幸福とは何なのか?貧農のフムィリは妻に「幸福を探してきて」と家から追い出される。そして幸運に拾ったお金をもって家に戻る。幸福とはお金なのかしら?
そのお金で買った馬は役に立たず、結局妻が馬の代わりに畑を耕す。(本当に馬の代わりに鍬をひいていくのだ)そして、豊作を迎える。幸福とは食料か?
ところが税金などで農作物は奪われてしまう。落胆したフムィリは自殺を図るが、「誰が死ぬのを許可した?」と軍に追われる。死ぬことも許されないなんて、幸福とは自由なのか?
集団農場に馴染めなかったフムィリだが、最後に盗人を捕まえて正義を示すことに。すると、集団農場で充実した生活をしていた妻に再び迎え入れられ、フムィリもその後は裕福に暮らすことができるようになる。
プロパガンダ映画としてみれば、幸福とは集団農場(コルホーズ)で一生懸命働き、連帯すれば幸福なのだと描いているのかもしれない。ただそれにしてもこの映画は愉快で、これを見ても、私はコルホーズに入りたいとは全く思わなかった。